悲しくてやりきれない

小さな郵便局の窓口で、思わず叫び出すところであった。

変わらずにいた3円切手と5円切手が、とうとうモデルチェンジしてしまった。

大好きだったのだ。どの切手も。
濃紺に犬の2円切手も。青に白鳥の5円切手も。黄緑に鶯かな?木にとまる小鳥の3円切手も。
猿・・・!!!
りす・・・!!!かわいいけど・・!!!
写実的過ぎて合わないのだもの、他の切手と!
浮世絵の80円切手にあのうさぎ。ブルーナの50円切手にあのうさぎ。インドのモスクにあのうさぎ。国勢調査のかっこいいデザインにあのうさぎ。
全然ちぐはぐでおかしいのだもの!
だから今まで2円でいいところを、3円や5円を貼ったのだもの!
タンポポに花むぐり(10円)、レンゲにミツバチ(20円)、ハルジオンにチョウチョ(30円)も大好きだった。勿論、その前のデザインだったのであろう、椿の30円切手も大好きだ。けれど、それらの切手は決して組み合わせる切手とケンカしないし、むしろ関連性が生まれやすくて大変使いやすかった。
今回の、20円の鹿の切手は割に好きだ。
でも、レンゲミツバチにはかなわない。きっと必要に迫られない限り、朱鷺の10円は買わないと思う。
こんなことなら、変わる前の3円5円を大量買いしておくべきだった。いつまで経っても変わらないから、この2つはこのままなのだと勝手に安心していたのである。
3円と5円の切手を頼んで、局員さんがあたふたと用意してくださって(多分普段買う人はいないのだ)、猿とリスが目の前に現れて、冒頭のわたくし!そして、このデザインのなら要りませんとも言えないから、何事もなかったかのようにありがとうございましたと言って郵便局を出るわたくし!!
わああ 悲しい。どうしたらいい!本当に悲しい!
どうしてデザインが変わることを事前に教えてもらえないのか。
せめて、しばらくの間どちらのデザインがいいか選ばせてはもらえないものなのか。
どこに行けばまた出会えるのか。
こんな思いをしている人は、世の中にどのくらいいるのだろうか。

本当にテレサ・テン・・
絶望的に 泣き出してしまいそう な出来事であった。

 
 

 

スタンプラリー

市内7箇所の図書館を巡るスタンプラリーをしたいんです。

そんなお話をお聞きしたのはもう1年半くらい前だったか。
ゆっくりとお話は進み、7地区それぞれの特色が入ったスタンプ用イラストと、スタンプを押してもらう台紙を描くことになり、この4月からその企画が実際にスタートした。
2月の終わり、直接お話をいただいた久世地区の図書館に、完成した台紙を見せてもらいに行った時、恐れ多くも久世図書館第1号でスタンプを押していただいたのだけれど、その時点で他のスタンプは既に、ドラゴンボールよろしく各地区の図書館に散らばってしまっていたもので、各館のスタンプも、スタンプをコンプリートしたらもらえるプレゼントも事前に知った状態で、正にドラゴンボールよろしく7つのスタンプを集める旅に出掛けることになったのである。

実のところ、このお話をいただいた時、そしてスタンプや台紙の絵を描いている時、なんならそれが出来上がった時も、どうして市内の図書館を巡るのかなあと思い続けていたのだった。
市内の図書館では、そこの図書館にない本でも別の図書館にあればそこから借りることが可能であるし、遠くの図書館で借りた本を近くの図書館で返却することができる。
わざわざ、普段通ることもない地区の図書館まで足を運ぶ理由はなんなのだろうか・・疑問に思いながらもお尋ねするのを忘れるばかりしている内に、スタンプラリーはスタートしてしまった。

実際、7箇所ある図書館の内、行ったことがあるのは1つのみ。
巡ってみると、なるほど、それぞれに違いがあるではないか。
最近建物が新しくなった落合図書館は、入ってみると木のにおいがし、施設も美しい。蒜山図書館では、天井までそびえ立つ書棚に圧倒され、一緒に行った友達が見つけた実写版セーラームーンの本に声を上げた。靴を脱いで入る湯原図書館では、数少ないわたしの単行本を置いてくださっているのを見つけて恥ずかしくなったり。司書さんが優しく迎えてくださる美甘図書館は、小さいながらも、静かでとても落ち着く空間であった。
そうか、それぞれ特徴があるのだなあ。おもしろいなあ。
また、折角来たのだからと、行ってみたかった湯原のはんざきセンターを訪れたり、蒜山のハーブガーデンをのぞいたり、新しく出来たと聞いていた北房のカフェでお昼を食べたり、何か新たなスポットへ行くきっかけにもなりました。

スタンプラリーは9月いっぱいまでですが、わたくし早速にボール 基、スタンプを全て集めてしまいました。
台紙に名前を書いてくださいと何度も注意されながらも、ぐるっと一周、楽しい旅でした。




映画通信

 
『フィッシャー・キング』を観た。
ロビン・ウィリアムズが好きなのである。
好きといってもロビンの出演作を全て網羅しているわけでもない。
25年も前の映画なのか。
この程度である。何につけても。

うわーーーとまくしたてるように喋るシーンがロビンにはしばしばあるけれど、いつ観ても圧倒される。
困った顔も、はにかんだとこも、怒っても狂っても叫んでも沈んでも、なんと魅力的な人だなあと思う。
この映画のロビンの役も濃いキャラクターだったけれど、歌の上手いおじさん(?)も素敵だったなあ。
わたしにはこの映画がハッピーエンドなのかどうかわからなかったが、観終わってからロビンがいないことが今更ぐわーと効いてきて、膝を抱えてさめざめ泣いてしまいましたことよ。

 

塚本晋也監督の『野火』、続けてカナダの『不倫したい女』という映画を観る。
この、邦題をつける人というのは一体どういう意図で決めているのだろうなあ。
このカナダの映画は、原題『GUROV AND ANNA』というのだ。
チェーホフの短編の登場人物名で、それがこのストーリーに大きく関わっているのだが、別に邦題もこれで構わないのじゃないかと思うよ。
おっさんと若い子が確かに不倫をしているよ。しかし観てみて、不倫したい女の話というよりも、不倫したいかんともしがたいおじさんの話であって、この邦題がとても適当とは思えない。
前にも同じような設定の映画を観たけれど、最後はなんだかなあと思ったものの、お互いの気持ちが切実で、映像も美しく、また観てみたいなあと思うものだった。
今回のは、ええ?なんなんだよそりゃと困惑するばかりだったのだが・・チェーホフへの造詣が深ければ、もっと色々と感じる映画だったのかなあ。
ともかく、重点置く人違うだろうがよとか、内容に誤解生じるだろうがよとか、納得し難い邦題が多いですことよ。


     

 

 

 


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