魅惑のハイカット

姉に貰ったコンバースのスニーカー・黒。
随分履きつぶしたもので、履き口部分の糸が切れ、かかとの辺りが裂けて大層履きやすくなってはいたのだが、靴の裏から水がしみ込むまでになり、これはさすがに替え時か と靴屋さんに赴いた。

とりあえず同じ黒のコンバースと、似合いそうになかったので手を出さないでいたものの、少し前から気になっていた、履き口が足首まである、いわゆるハイカットのターコイズかショッキングピンクを買うつもりで参ったのだが、ターコイズは無く、ピンクも爪先部分が自分好みでなかったので、さてどうしましょうかと熟考した末、赤のハイカットを購入。

黒スニーカーは先代に使っていた濃いピンク、赤ハイカットは無印で買ったスモーキーブルーの靴ひもにかけ替えた。

あら。   すてきではないの。

ぱきっとした赤に淡い青がやさしくて。
その外見にも満足したのだが、驚いたのは実際履いてみて。

あら。   足首がめっそう温いではないの。

いや、知らなかった。びっくりした。
更に、まあそれが今であったのかもしれないけれども、似合わんこともないではないか、ハイカット。
そしてやっぱり、赤い靴って素敵だ。驚く程に何にでも合う(と自分が勝手に思っているだけで、傍から見たらヒンシュクものかもしれないが)。
かっこよい上にあったかい。なんてよい買い物をしたのかしら。

ハイカット、星3つです。

 

 

上京物語

常々、行こう行こうとは思いつつ、あっという間に3年5年と経ってしまっていたのだが、まるで思いつきな感じで知り合いの方に東京行きませーん?と声を掛けてみたところ、え、行きましょうよ行きましょうよということになり、実現の運びとなった東京行き。
お世話になっているご夫妻にお会いする以外は特に目的もなかったのだが、「とりあえず築地で旨いものを食う」と、とても素晴らしいという噂の、スカイツリーの足元にあるらしい「すみだ水族館へ行く」と「浅草で演芸を観る」を3大柱に江戸へ。

到着後、そのまますぐに築地市場へ。
ランチに、予算3000円を大幅オーバーする6500円(酒も飲まずに)をつぎ込み、旨い寿司(もうウニの旨いこと!ムラサキバフンウニ万歳!北海道ありがとう!大好きな鯵!イクラの巻物・はまぐりの握りなんて初めて!ほたてもおいしかったー!)を腹7.5分目ぐらい食らって築地をあとにし、水族館へ向かう。(押上へは何線に乗ればいいですか?と駅員さんに尋ねてから、はっ!絶対スカイツリー目的だと思われた!とひどく恥ずかしくなる。)

平日だがスカイツリー周辺には沢山の人。
高い所は割に好きだが、正直に申し上げますと左程ツリーに興味がないので、お店を少し見たあと一路水族館を目指して進んだが、途中でよくわからなくなって、ツリーの下辺りに立つスタッフの女性に尋ねると、ここを真っ直ぐ行った先のエスカレーターを上がったとこが入り口だと言われ、その手前のコインロッカーに大きい荷物を預けて数メートル先のエスカレーター下まで行った所で、我々は驚嘆の声を上げた。

すみだ水族館  展示替えのため この日から休館。

口に出したよ。うそだろう!?なぜだ!なぜ教えてくれなかった!!情報が行き渡っていなかったのか!?尋ねた時に、制服あんまり似合ってないなあと思ったわたしの心が読まれていたのか!?だとしたらすいません!
2人で愕然としたまま、観たかったのに・・・を繰り返す。
1分前に500円払って預けた荷物・・溜息・溜息・わたしによるスタッフ女性への雑言(自粛)・・溜息・・・・・
いたしかたない。 登るか、ツリー。
しかしまあ、よくこれほどの塔を作られたものだ。その技術力には感服する。
折角なのでいちばん上まで行ってみる。
なんだろうなあ・・テレビで余りにも高い高いと色んな人が言っていたからだろうか、もの凄い高さを想像してしまっていたためか、あれ、こんなもんかなあ・・・・・という。
15年以上前、初めて東京タワーに登った時の感激の方が大きかった気がする。(あとから考えるに、行きの飛行機から下を見ていたために、ツリーの高さがそんなでもなく感じられたのではと推測される。申し訳ない、ツリー。)色といい形といい、わたしはタワーが好きかなあと思いながらツリー内を見回っていると、東京タワーに会いに行きたくなった。

ツリーの下で遭遇した、ロケ準備中のじゅんいちダビッドソンさんが本当に似ていて(そして感じの良い方だった)、思わず笑ってしまったところで1日目は終了。

2日目は、お邪魔したご夫妻のお宅ですっかり寛いでしまい、わたしがどうしても行きたい店があるとわがままを言ったため、「浅草で演芸」を実現できずに帰郷。(まあ 水族館も叶ってないけど。まあ調べて来いよという話でしょうけど。)

あっという間だなあ2日。移動ばかりしていた気がするなあ。会いたいなあと思う人に会えたらよいなあと思いながら歩いたけど会えなかったなあ。
でも、行きたいなー言うても遠いいなーと言っていた東京が、ちょっと近くに感じたかなあ。
今度行く時は、丸1日美術館を巡って、もう1日は演芸場を回りたい。できたら銀座を用もないのにぶらーっとして、東京タワーに会いに行くかな。新宿の手芸屋さんと沖縄料理のお店にも行きたいなあ・・・
あっ、あと絶対すみだ水族館!!

 
     

映画月報

観終わったあと、はー面白かったーええもん観たーというのも勿論好きだが、虚無感や悲愴感に心が沈み、暗澹たる気持ちに溜息しか出てこなくなるのも、重大な意味を持つものとして大いに歓迎するところである。
そういう映画を久々に観た。
『ルードヴィヒ』。
原題は『LUDWIG2(ローマ数字に変換できないよ!)』。バイエルンの国王・ルードヴィヒ2世の話。自然や音楽、特にワーグナーを熱烈に愛したということで、音楽が好きな方には知られた映画かもしれない。
なんだろうか、このやり切れなさ。そりゃ病みもすらぁな。ワーグナーの作品にこんな背景があったのも知らなかった。ワーグナーの曲を聴くと、今後これを思い出してつらくなってしまうだろうなあ。彼が後世に残した功績は、擁護したワーグナーにしろ劇場や古城にしろ相当大きなものと思うが、苦しいよ。
国の問題・争いに関してはいかんともし難いが、せめて人に対する特別な感情については、そばへ行って「大丈夫だ」と言い、対処の仕様を一緒に色々考えたかった。
映像・景色が非常に美しかった。建築物を見てはここはどこだろうと思いを巡らしたり、ビスマルクという聞き覚えのある人名に、歴史の中に少し立ち入ったような気持ちにもなる(よく考えたら、ソーセージやゆで卵がのったピッツアの名前として覚えがあっただけかもしれなかった)。

探究心がないのだろう、つくづく学者や研究者にはなれないなあと思うのに 、興味を惹かれても、素敵!大好き!素晴らしい!と、「それ」から与えられた印象に心震わすだけの感覚人間としては、想像・脚色はあるにしても、史実をひもとき調べ上げ、目の前に明らかにしてくれるというのは大変に有難い。

そういう種類でいうと、少し前に観た『エリザベス:ゴールデン・エイジ』も同様。
15年程前、空腹のため吐きそうになりながら映画館で観た『エリザベス』の続編が出ていたのを知らなかった。まあこれもつらかった。
エリザベスを演じたケイト・ブランシェットが、ウディ・アレン監督の『ブルージャスミン』ではこうなっちゃうのか というギャップもひとつの衝撃であった。物語の舞台が違うのだから当たり前なのですけれどもが。

 

その他、お正月以降観て、よかったなーという映画

インド映画『スタンリーのお弁当箱』(STANLEY KA DABBA)
主人公の男の子が、遠くに住むかわいい甥っ子ちゃんに似ていて余計涙が出る。子供達がみんな可愛らしくて先生も魅力的。しかしラストは、そ、それでよいのか・・?と思う。

リュック・ベッソン監督『マラヴィータ』(THE FAMILY)
間の取り方とか場面の切り替わりとかとても好き。皮肉もシャレていてかっこよいなあと思う。主演のロバート・デ・ニーロは、昔ウッチャンナンチャンの内村さんが、ろばとでにろう(露鳩・・デニロウが思い出せない)という役者が出てくるコントをしていて、顔を見ると、どの映画に出ていても思い出されて笑ってしまう。

『マリーゴールドホテルで会いましょう』(THE BEST EXIZOTIC MARIGOLD HOTEL)
ひと年取った人々が主人公な話が好きだ。
イギリスっぽいなんて、イギリスの何を知っているのだと言われたら言葉もないので、わたしのイメージの中のイギリスっぽさを感じます ということにします。再会を果たした2人はよいかもしらんが、そのあと夫婦はどんな気持ちで暮らしていくのだろう というのがいちばん思いとして残ったこと。

『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(NEBRASKA)
お父さん大好き。息子も好き。どこにも起り得る、そしてきっと今まさにそれに直面している人々が沢山いるであろう、深刻さを抱える事態であるのに、当然、物語上では全く笑わせようとではない2人のやり取りが、おかしくて素敵すぎる。邦題、ネブラスカだけで充分ではなかろうか。また観たい。

今更ですが『スティング』(THE STING)
翻弄されて怒るギャングが好きだなあ。登場人物が、粋でオシャレなワル者ばかり。やっぱりポール・ニューマンが素敵。『追憶』も観たが、ロバート・レッドフォードに惹かれないのはなぜだ。



     
今日の
刺繍

    ボタン      直径約4cm

 

 


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