春の使者

母は大変料理まめである。
上手に黒豆を煮、巻き寿司やいなり寿司をこともなげに作り、こんにゃくを作り、らっきょうを漬ける。昔はツナ缶2個と卵7個の巨大卵焼きを作っていたような豪快な方なので、具を詰めすぎて巻き寿司がはじけてしまうこともよくあるが、手と時間のかかる料理を手間暇かけて丁寧に作る。

夏、茄子が採れると、辛子漬け作って〜とお願いするようには決して口に出さないが、春、静かに待っているものがある。
いかなご釘煮。
毎年毎年、高いけんもう来年は作れんかもしれんと言うけれど、この時期になるとタッパーにぎっしり詰まった美味いのんが届く。そこで初めて、待ってました!と喜びを表明するのである。ほっといたらどんぶり1杯食べてしまう程大好きなのだが、高級品なので少しずつ少しずついただく。幸せ。幸せ。ありがとういかなご!ありがとう海!ありがとう漁師さん!ありがとう母!
何かにのせて・何かと和えて・野菜と一緒に・そのままで・・
何にでも合わせてくれるオールマイティーなところも大好き!
酒の肴にもよさそうだが、酒など飲まずとも、お茶と釘煮で延々いける。

今年も母のお蔭で、我が胃に釘煮をお迎えすることができました。
来年もまた密かに楽しみにお待ちしております。

 

     
come on
a my
house
てまりちゃん

手まり作りの魅力に取り憑かれてしまった昨年2月。
完全に手まり作りたい病に罹患し、作りたいよ〜とうわ言のように呟いて1年過ごしたわたしに、やっと施された処方箋。
津山市内にあるギャラリー・Space Seedに、布仁美さんのてまり展がやってきたのです!
てまり教室も開催。参加できる人数が少ない!と慌てて予約。どうやら一番乗りだったようで無事参加決定!1人で盛り上がる。予約してからの2週間が待ち遠しい。
当日、一緒に予約したお友達と会場へ向かい、まずはてまり展を堪能。していると、是非一緒に作りましょうよーとお誘いしていた方が来られて、さらに驚喜!早速手まり作りに挑む。
昨年同様、土台は布さんがあらかじめ用意してくださっていて、まずは糸で補助線を引いていくのだが、これがなかなか難しくて苦労する。この補助線に沿わせて、去年は針を使って糸を運んでいったのだが、今回は同じように針に糸を通しているものの使うのは始めと終わりだけ。糸を土台に巻き付けていくと、どんどん模様が出来上がっていく。ご一緒したお2人は手まり作り初体験。経験者のわたしは調子よく作業を進めていたが、4つ目の色を選ぶのに長大な時間を費やしてしまい、結局完成がいちばん最後になってしまった。
何を作るのでも、結構季節に左右される質なのだが、やはり今回もうきうき感溢れる春爛漫な手まりが出来上がった。前回作ったのと並べても違和感ないのでまあよかったかもしれない。ただもろにわたし色で、相変わらず何の冒険心もないなあという感じではある。
3者3様、シックな手まり・モードな手まり・浮かれた手まり。興味深いなあ。楽しいなあ。なんでこんなに楽しいのだろうなあ。また作りたい!どんどんどんどん増やしたい!
きっと同じような色合いのものばかりになるのだろうけど。


     
映画ってよいものですね。

正月程ではないが、時々映画を観る。
録画ができないのでたまに昼間も観るのだが、どうしても観たい映画が目白押しの日があって、昼の2時から実に9時間40分、ぶっ通しで4本観た。どの映画も大変よかった。

初めてドイツにサッカーを持ち込んだ教師と、そのクラスの子供たちの話『コッホ先生と僕らの革命』、マット・デイモン主演、妻を亡くし子供2人と暮らす男が、動物園付きの家を買い、動物園を再開しようと奮闘する『幸せへのキセキ』、母校の弱小バスケ部のコーチに就任したカーターが、独自のやり方でチームを全国レベルにしていく『コーチ・カーター』。この3本はどれも実話が元になっていて、ああ実際にこんなことが起こって、こういう経験をした人達がいたのだなあと、それぞれの登場人物の1人1人のその時の気持ちを考え考え観た。どの話も、歴史的背景や身分階級による差別、親と子の心のすれ違いや犯罪の道へ進んでしまう社会環境など、ネックになっている事があって、その事柄が一体どうなっていくのだろうかと更に引き込まれていった。とくに『コッホ先生』が好きだった。ドイツのお国柄(特に昔の)がよく出ている感じがしたし、子供たちがかわいかった。『今を生きる』然り、先生と生徒(児童)の話が好きなのかもしれない。
そして4本目は『レ・ミゼラブル』。『シェルブールの雨傘』のようなミュージカル仕立て。まあそりゃそうなのですけども、みんな歌が上手い上手い。あんな歌えたらさぞ気持ちよかろうなあ〜と惚れ惚れする。話自体は、なぜそんなことになるのだろうなあと思う所もあったけれど、全部終わっての感想は、凄いもん観た のひと言。衣装も美術も金かかっとんなーという感じだった(衣装・美術のすごさといえば、少し前に観た『アンナ・カレーニナ』にはとにもかくにも圧倒された。劇場のセットが変わるように場面が転換していくところが美しく、その度に感嘆してしまった)。有名な「夢破れて」の見事さ(いや、つらい歌なのだが)は勿論だが、市民革命を起こそうとする若者たちが歌う歌がまた良くて、後日ラジオを聴いていて、何かのCMでその曲が流れてきた時には思わず涙が出そうになった程であった。

昔は、映画の日に朝から映画館をはしごしながら、1日3〜4本、5本観たこともあった気がするが、映画を貯め観したものだった。ある映画(『エリザベス』だったか)を観に行った時、満席だったので通路に立って観ていたのだが、エンドロールが流れる前あたりから気持ちが悪くなってきて、吐き気がし、立っておられなくなったので、映画が終わるや否や会場を飛び出し、一目散にトイレへ駆け込んだのだが、なんのことはない極限まで腹が減っていただけだったようで、持参のおむすびを食べたら、すわっと治ってしまったというのもよい思い出です。

それにしても、4本観て全て当たりのこの充実感。
映画は素敵だ。
今どうやら、ものすごいスピードでインプット作業をしているところな気がする。

 

 


     

 

 

 


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