カタカナが覚えられなくて困りますが。

忙しい中母が作ってくれたおいしいおせちとお雑煮を食べ、母・姉一家と凧揚げに羽根つき・独楽回しという正月らしい遊びをし(&滑り台&ホッピング)、さすれば更に正月らしきことなどせむと、テレビではあるが映画を観た。

以前途中から観ていた『かもめ食堂』を最初から観(もたいまさこさんが大好きなのだ)、『CHERRY』というアメリカの映画を観、昨年公開の『キツツキと雨』を観た。役所広司さん主演だが聞いたことのないタイトルで、なんとなくしっとりと暗めの内容かと勝手に思っていたのだが、これがなかなか面白かった。明るいけれどもどたばたしておらず、テンポがよくて笑わせる。去年初上陸した岐阜が舞台だったのも嬉しくなった。今をときめく高良健吾(役所さんとの叩き合いは実によかった)や小栗旬の他、伊武雅刀さんや嶋田久作さん・平田満さんなど次々よい俳優さんが出てきたが、後半もだいぶ過ぎた所で山崎努さんが出てきた時には、思わず声をあげてしまった。あっという間の129分。ええもん観たなあという気分になった。
わたしは割合邦画が好きである。堺雅人さん・香川照之さん出演の『鍵泥棒のメソッド』も、終わるや否やもう一回観たいと思った程面白かった。
実際はそこに何もないのに驚いてみたり闘ってみたり、どうせうまいこといくのはわかっとるのに踏み外してみたりぶらさがってみたり(ジャッキー・チェンはこの類に非ず)頼みもせんのに色々画面から飛び出してくるようなのはあまり興味をそそられないのであって、割といつまでも心に残るのは、フランスやイタリアなどヨーロッパのものやアルゼンチン・チリなどの映画が多い。

多いと言っても、そんなに数は観ていないし全く詳しくもないのだが、是非もう1度観たく、楽しい映画が好きな人におすすめなのが、確かロシアとフランスの共同制作・邦題が『オーケストラ!』という映画。原題はconcerto!だったか、concertのフランス語ではないかと思うのだが、寄せ集めのオーケストラがパリの大舞台で演奏会をする話。これこそハッピーエンドが予測できる話ではあるが、ロシア(ソ連)の歴史や人種問題も描かれていて、単に、できそうもない人達がものすごいことをやっちゃいましたよという面白おかしい話ではない。また、クライマックスで演奏されるチャイコフスキーのバイオリン協奏曲が、言わずと知れた大名曲ではあるのだけれど、その曲を演奏するに至った経緯・そこに込められた想いによって曲の魅力が数倍になり、映像による美しさ・迫力で更に倍加し、劇中のホールスタッフならずとも、抱き合って涙を流さずにはおられん程の感動である。クラシック好きの方は当然知っとりますよという映画かもしれないが、ご存知ない方は是非、クラシックに興味のない方にも観ていただき、オーケストラかっこえー!と思っていただけたら嬉しいなーという1本であります。

クラシックに詳しい人に『ハモン ハモン』(1992)を観て確かめてほしいのは、クラシックにも詳しくないので思い込みかもしれないのだが、スペイン映画でもあり、「カルメン」を下敷きにしているのではないかなあということの真偽。まあ人の業の深さというか、登場人物の相関関係には半ば呆れて笑えてきますが、決してコメディーではありません(多分)。夜中に全裸で牛舎に入り闘牛の練習を試みたり、クライマックスでは男同士の決闘を見てかつてこんなに笑ったことがあっただろうかというくらい笑ったが、決してコメディーではないようです(おそらく)。20年以上も前の映画。ペネロペ・クルスはべっぴんさんです。

『シェルブールの雨傘』を観ても随所で笑っていたわたくしですので(しかしこの映画はあらゆる面で面白く素晴らしい。曲のよさは勿論のこと、服がまあかわいいかわいい!)、作られた方の意図とは違うものばかり汲み取っているような気もするが、結構自由でよいのだよと言ってくれているようで、わたしは映画が好きである。

きっと平日昼間っから映画を観ていても、後ろめたさを感じないのは、お正月だから(未来予想図2風)。正月過ぎても観ますけれども。平日昼間っから。後ろめたさを感じながら。
今年もよろしくお願いします。

(早速夜には、ウェス・アンダーソン監督『ムーンライズ・キングダム』を観ました。音楽も好きだったし、エンドロールも楽しかった。『ロイヤル・テネンバウムズ』もよかったなあ。)

 

 
     
今年の
抱負


調味料は塩こしょうと日本酒だけで作るという「びしょ鍋」なる広島のご当地鍋を2日程前テレビで見て、早速やってみた。

具は、豚肉にこんにゃくや白菜・しめじなどを入れていたが、揃わなかったので冷凍庫に残っていたしゃぶしゃぶ用豚とかぶ・白菜・葱・生姜・にんにくを入れた。
具材が浸かってしまわないくらいに日本酒を入れ、アルコールが完全に飛ぶまで煮る。しばらくぐつぐつしていると野菜もやわらかくなったので火を止める。
テレビではすき焼きのように溶き卵につけて食べていたが、わたしはそれを苦手とするのでそのままいただく。
肉はしゃぶしゃぶ用だったので案の定硬くなっていたが、白菜も葱もとろーっとして、冬の野菜は甘みがあるものだが日本酒のおかげで更に甘く、なにより熱くておいしい。
しかし、もう少しで平らげようという頃、体に異変が生じ始める。
顔が熱く、むくんだようにぱんぱんになり、脈が速く呼吸が荒い。鏡を見ると、目の周りが真っ赤になって、酔っぱらった狸の如し(見たことはないが)。足元も頼りなく、外仕事にはもってこいの折角のお天気を、家の中から眺めるだけの午後になってしまったのであった。

今更酒が飲めるようになどとは思わん。
今年は、せめてアルコールが飛んだかどうかがわかる人間になることを目指します。


     
湯たんぽ幸せ

昨冬使っていた湯たんぽに穴が開き、湯が漏れるようになったのでさよならしてから、今冬に備えて買わねば買わねばと思いつつ、忘れるばかりしていた(そんなことばかりしている気がする)時に、母にその話をしたら、今使ってないので持って行けと言われ、母だって足が冷えるのになにしい持って行けようにいと言っていたら、もうひとつ湯たんぽが見つかったのでお言葉に甘えて持ち帰ったのだが、既に中が錆びていて、2ヶ月程使ったところでこちらも穴が開いてしまった。
エアコンがなくとも暮らしていけるが、湯たんぽ無しでは困難を来す。
ホームセンターで、さよならしたのと同じ型のものを購入。お湯がたっぷり入るのでかなり重いが、温さも増して、朝まで足も体もぬくぬくである。目が覚めて、足ぬく〜・・と幸せに浸っていると、いつの間にか2度寝をし、気付くと3度寝していたりする。
この素敵な湯たんぽに欠点があるとするならば、布団から出してくれなくする点であろうと思う。

 

いつだって片想い

家に居る時は四六時中わたしの足を温め続けてくれる優しい湯たんぽ。
朝は中のお湯で顔を洗ったり、靴下くらいなら洗濯もできる。
風呂に入っている間、着替えの中に挟んでおけば、上がるまでにパジャマを温めておいてくれる。(この点で湯たんぽを秀吉或いは豊臣君と呼んでもよいくらいだ)

いつものように、パジャマと共に、使っていた湯たんぽを抱えて風呂場へ向かい、脱衣所に置こうとした時であった。
パジャマと体の間にあった湯たんぽが滑り落ち、ダーンという大きな音を立てた、その一瞬あと、目のくらむような衝撃と痛みが走り、体が痺れたようになって、その場に硬直してしまった。
落下した秀吉が、左足の中指を直撃したのである。
広い「面」だったのならまだしも、体の上下を接着した、周囲ぐるりに立ち上がっている縁の部分が垂直に、つまりほぼ「点」で秀吉の重量をもろに喰らった形である(あとで量ったら4.5キロあった)。
数秒かかってやっと体をかがめ、突如大事故に見舞われた中指を両手でぎゅうと包みはしたが、気を抜けば口の端からよだれが垂れてきそうな程の激痛に、頭痛に目眩・吐き気までもが一気に集結、意識が遠のきそうになる。どうやら骨は折れていないようだが、心無しか関節部分が凹んでいるように思えないでもない。
翌日は朝から出掛けねばならぬ割合大事な用があるのに、なにも今日こんなことが起こらなくとも・・・
尻の辺りまで鈍痛と痺れが上がり、痛みで寒気さえする体を丸め、呻き声を発しながら思っていた。

毎日、温もりと幸せ・心の平穏を与えてくれる大好きな秀吉。
しかし想いを寄せていたのはわたしの方だけだったのだ。いつだってそう。そして流れくる渡辺真知子『迷い道』。まるで喜劇のようではないか(実際痛すぎて途中から笑い出してしまったしな)。その温もりと優しさを真に受けて。まさに冷めかけている豊臣君に 、意地こそ張らねどいつまで経っても想いを残して・・。
豊臣君のお蔭でしもやけにならずに過ごせているし、電気毛布がなくたって寝室の温度が5度以下だったって、寒くて途中で目が覚めることなんてないし、いつもいつもわたしを助けてくれるから、もしかして豊臣君もわたしのこと・・って思ってたけど、考えてみれば、豊臣君は誰に対してもおんなじ態度だったよね。わたしだけに優しいわけじゃ、なかったんだよね。わたしってそうやって、同じことばかり繰り返して、そう、いつだって  片想い・・・


次の日は足先に余裕のある靴を履き、時折机や扉に足をぶつける度、体を走り抜ける激痛に顔を歪めながら、なんとか乗り切りましたよという、単なる不注意の話。
皆様もどうぞお気を付けて。

中指の爪の付け根が真っ黒です。
あら図らずも、川柳調に。

更に短歌調。     

     

 

 

 


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