秋は
目白押し

9月に入ったら必ず という催しに早速。

まずは、piatto nonoさんで始まった『イタリア食堂 米山』。
その前にされていた小林泰子さんの個展は、伺うのが終了ぎりぎりになってしまって、少し展示替えしたというのを見損ねたので、今回は早くに!と思っていたのであります。
米山千春さんと彰彦さん姉弟による展示。
千春さんの作られるものが以前から好きで、白い小鳥や星のオーナメントなど時々家に連れ帰っていたのですが、今回の展示もとても素敵で、なんと申し上げたらよいのか難しいのですけれども・・圧巻であり、何とも言えぬ安らぎがあり。ぞくぞくするのに、ほっとする といった感じでしょうか・・わかりにくいなどうも。好きなのです。もうそのひと言。
お店には彰彦さん作の家具が入っていて、そこでお料理をいただいたりできるのです。わたしは前から特に椅子が好きなのですが、今回のもとてもよくて、折角なので大きな椅子に掛け、優雅な気分でごはんをいただきました。

続いては、勝山のひのき草木染織ギャラリーで始まったKawata Kayokoさんの 個展へ。Zakuro というお名前で作品を発表されているKawataさんは、勝山では初個展。以前児島のALAPAAPでお会いして初めて作品を拝見した際、絶対欲しい!と叫んだ程に魅力的。勝山で個展するんですとお聞きして、どんなに待ったか!オリジナルのデザインがプリントされた布を使って、バッグから小物まで色んな形のものを作られるのですが、いちばんの特徴は全て一点物ということ。プリントのデザインもその展示限り。作品も、それぞれの形で同じプリントからは一点ずつのみ。今回は勝山からイメージした6種類のデザインをプリントされていたのですが、がま口ならデザイン違いが6個のみ。つまり、同じプリントの同じ形は無いということ。それを知っている人たちは、始まるや否や慌ててやってくるのだそうで(わたしも慌てて行った)、こうして書いてはみたものの、まだ作品が残っているのかわからない・・ま、ほ、報告ですから・・いや、そもそも独り言だしな・・・

 

心待ちにしていた2つの展示に伺えて、ひとまず安心安心です。

     
行きたいとこに
行かいでか。

狭い日本と言うけれど、行ったことのない所より、行った場所を数える方が早い程、自国のことを知らないでいる。

新幹線で通過はするが、降り立ったことの無かった岐阜(他都道府県の方にとっては岡山もそういう存在のようです)。思いがけず訪れることが叶ったのである。

飛騨高山。白川郷のイメージだろうか、聞いただけで歴史と情緒を感じる地名である。
高山へ行くという方に文字通り便乗し、初上陸。用事のあったその方とは別行動で、高山市内をあてどもなく彷徨。古い町並みが残る観光地とあって外国の方も含め沢山の人が歩く。毎日開かれるという朝市を見たあと、ふらふらしていると、町中に立っている観光地図に印籠美術館という心揺さぶる文字を発見。そこを目指して歩き出したが、推測では近くなはずにも拘らず、ゆけどもゆけども着かないどころか明らかに町並みから外れ、それらしい施設も見当たらない。間違えたなと思いながら歩いていると、大きなお寺が見えてきた。市内中心部の山側に、ずらりとお寺や神社が並んでいるのを事前に別の地図で見ていて、これは訪ねてみなければと思っていたのだけれど、どうもそのいちばん端のお寺に辿り着いたらしい。お参りをしてから、古い町並みという標示を頼りに、別の道を通って元の場所に戻る。戻りながら店先に置いてある観光地図を手に入れ、再び印籠美術館を目指したがどうやっても見つからない。無念ではあるが、ひとまず寺社巡りに切り替えて歩く。山裾を横に流れるようにお寺と神社がおわしておいでになる。少し高い所にあるお寺の鐘つき堂に上がると、真っ青な空の下背の高い木々の間から高山のまちが見渡せ、なんとも晴れやかな気分になる。そう、この日は殆ど真夏のような暑さと日射し。実はちょっと甘くみていたのですよ。高山を。我が生息地よりも多少北じゃし、まあわりあい涼しいであろうと。なんのこたあない、空気こそ夏の湿り気はなくなったものの、かんかん照りの熱中症日和。畑に出るときは顔をタオルで覆い、なんとか夏をしのいできたのに、まさか秋の飛騨でこれほど日焼けするとはな。半ズボンの型て・・小学生か!お蔭で存分に歩き回れましたけれどもね。
夜はお蕎麦屋さんで美味しいお蕎麦・そばがきをいただき、日が沈んで涼しくなって余計いい気分になったもんで、宿までの帰りまたもふらふらして何本か手前の小径を入ったら、曲がる所を間違えて、(呑んでもないけど)ほろ酔い気分をぼろぼろと高山の夜道に落としながらオロオロと迷い歩くこととなったのであった。

次の日、朝市を再び訪ねるべく少し早く宿を出る。途中立ち寄った飛騨国分寺は重文の宝庫。本堂の前の大銀杏・その側の三重塔の他、折角なのでとこれも国の重要文化財である本堂の中の仏さまにも拝謁することに。まあ、びっくりしたのなんの、まさかこれほど大きな仏さまとは!薬師如来や聖観世音菩薩・阿弥陀如来などずらりと並ぶ仏さまを前に、ただただ息をのむばかり・・いやはやなんという美しさ・・手や指の表情はやわらかく、衣のひだも、堅い木とは思えない、触れれば指先を流れるようなとろりとした生地を纏っているよう。中には一木彫と言って、1本の木から、芯を外して彫りだしたという仏さまも。非常に貴重な身の引き締まるような文化財の数々を見せていただいた。
厳かな心持ちで朝市の立つ宮川沿いへ。並ぶりんごやお漬け物にだんだんと神妙な気持ちが浸食され、とりあえず朝ごはん食べようかとなる。朝市のある通りの向かいにもう開いているお店があったのでそこへ。朝から高山ラーメン定食を食べる。なんとそのお店のラーメンの旨かったこと!前日のお昼、あちこちにある高山ラーメンのお店のひとつに入り、ちょっと残念な思いをしていたもので、おいしい高山ラーメンに出会えてますます嬉しく、また定食に付いているおかずもお漬け物もひとつひとつが誠においしい!至福の泉に浸っていると、よく熟れておいしいよとお店の方がトマトを切って出してくださる!感動的な朝ごはんをいただき、朝市へ。
おいしいお昼をいただいたあと、午後は光ミュージアムという美術館で、物凄い数の所蔵品と歴史を学べる展示室に驚愕し、地元のスーパーに寄って商品を眺めたりして帰途につく。

なんとも充実の飛騨高山でありました。初めてなので多分どこを見ても楽しいだろうと思っていたけど(実際飛騨ナンバーの車が並んでいるだけでそわそわしたものよ)。急について行くと言いだしたわたしを親切に連れて行ってくださった方のお蔭で、またひとつ行ったことある場所が増えました。

 


   
     
見たり

秋は目白押しのひとつ、美つくりの里・旅するアートへ。
今回の会場は津山市中心部の衆楽園とその周辺。8人の作家さんが参加されています。
会期前にテレビで紹介されたのもあってか、初日2日目と大変な人出だったらしいのですが、明けて3日目の衆楽園は月曜日の平日ともあって普段の静かな感じに。9月の終わりとは思えない日射しの中、それでもゆっくりお庭を一回りし、園内の建物の中へ。
先月の岡野屋旅館プロジェクトの中心人物でもあった高本さんの作品は相変わらず笑ってしまう程の凄さである。岡野屋での展示と同じく洗濯バサミを使った作品ですが、今回はその数も多く、岡野屋の薄暗い空間とは違って展示場所が明るいせいもあるのか、清々しい・・健康的な・・?感じを受けるといいますか、場所によってこれほど与える印象が変わるのだなあと改めて思いました。会期前のテレビ取材では、高本さんがまさに制作しているところが生中継されていたので、「あ、これこれ」と言いながら展示室に入ってくるお客さんも。建物の外から見える様子も素晴らしいです。他にも、まるで前からそこにあったように周りの景色となじんで池の中に佇む、河童をモチーフにしたごんご地蔵や、ネオン管で青白く照らされた仄暗い細い空間(廊下)など、作品が意外な程溶け込んで違和感は無いものの、いつもとはやはり少し違う雰囲気の漂う聚楽園でありました。
周辺のカフェやお菓子屋さんなどにもそれぞれ展示がされていて、そのひとつ、ラ・プロヴァンスで帰りにお茶を飲んだのですが、そちらでは灯心会の方の展示をされていました。津山は和菓子屋さん、殊ケーキ屋さんが多い所でもありますので、甘党の方には展示のあとに舌も楽しませてもらえそうでございますよ。

 

 

買ったり

アイロンが言うことを聞いてくれなくなった。割と前からのことなのだけれど。温度を調節するつまみが化繊のとこから向こうにも切にも動かなくなって久しい。それでもコンセントを挿すと結構な高温になって麻の生地でもしわを伸ばすので、新しくしようかどうしようかと長い間悩んでいた。

「家のプリンタが壊れたけん買い行きたいんじゃ」
ちょっと見るだけのつもりで電気屋さん寄ってもええ?と訊いたわたしに、旅するアートをご一緒したお友達が言ったこのひと言で、アイロン新調を決意した(なぜかわからんが)。
とりあえず2つの電気屋さんに行き、品物・値段を比べることに。少し年上のお友達は、最新じゃのうてもええし、色々機能が付いてのうてもええんじゃ。ややこしかったら結局使えんけん と押す所の少なそうな、値段も低めの物に目星を付ける。わたしは、種類豊富な中から以前他の電気屋さんで見たより安いアイロンを見つけて値段を覚える。更に、これも前々から懸案であった電動の泡立て器も、この際だからと購入の意を固め探してみたところ、こちらは選択肢が2つしかなく、値段の安い方を記憶。

続いてもう1つの電気屋さんに行き、まずプリンタの売り場で、さっき見たのはこれではないかとやっていると、売り場担当の店員さんが声を掛けてくれ、お友達の色んな質問に答え、その希望だとこの機種がよいのではなど懇切丁寧に説明・指南をしてくださる。最初は、押すとこの少ない最小限の機能があって、コンパクトなのにしようと思っていたのだが、店員さんの解説により、タッチパネル式で大きさはあるけれど、拡大縮小が出来て色もきれいなものを選ぶことにした。わたしの方は、泡立て器は先と同じで選択肢は2つ、安い方の値段は1箇所目と一緒。アイロンは先の方が種類が多く、値段も安かった。お友達はそのままプリンタを購入しようとしていたのだが、待てよとなり、さっきの店にもこれあったけ・・まあええか、ここで買おうか。2百円3百円の違いならここで買うて帰ってもええわ と躊躇のち納得しかけたが、わたしが2千円3千円の違いだったら?と再び迷いの風を吹き込ませたため、店員さんに無かったらすぐ戻ってきますと平謝りし、再び1件目の電気屋さんへ。

駆け足でプリンタ売り場へ向かい、同じ物がないかを確認。2人でこれは違うこれも違うと言いながら、ふと、機種と値段をメモしてくれば一発なんだろうなあ思う。さほど記憶力に自信もないのに、なぜかこういう時記憶に頼る。結果同じ物は無く、わたしのアイロンを買って行くことにはしたのだが、いちばん安いアイロンの色がどうもお気に召さない。箱にはピンクと書いてあるのだが、どう見ても赤。赤なのである。同じタイプの新しい型らしく5百円程お高い物のピンクの方がまさにピンクで、そっちがええ・・とグズグズやる。使えたら色やこええが!と言われ、貧乏人に選択の余地のないことを思い知らされる。

そうしてすぐに2件目へ。先程の店員さんは接客中だったのだが、折角だからとカウンターで待つ。親切な対応に敬意を表し、泡立て器はこちらで買うことにする。しばらくして来られた店員さんにお礼を言ってお支払いをし、晴れて本日の買い物漂流記終了。
早速お友達宅にプリンタを設置。前のプリンタがあったスペースにもぴったり収まった。
そしてわたしの赤いアイロンも、ぶしゅーと蒸気を吐きながら、身軽に仕事をこなしてくれている。

   
     

 

 

 


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