ああ!
やっと
今年初

 

 

 

去年から何度口にしたことだろう。
「Fabriqueさんに行きたい」。
何か用事があれば必ず寄るように、またはお店に行くことを目的に出掛けていたのが、とんと岡山に出る機会がないまま冬を越え、気が付くと夏になってしまった。
そもそも、そんなちょくちょく伺えるわけでもないのだけれど、こんなに間があいてしまったことはない。よく我慢できたなと思う程好きなお店ということなのだが、実に約9ヶ月振りのFabrique451。相変わらずCAFE Zは平日でもお客さんでいっぱいで、またもランチを諦める。そばには新しくパン屋さんが出来ていて驚く(3日前にオープンしたとのことだった)。人気のパン屋さんが移転されたのだそうで、そこにも次々にお客さんが。皆青い袋を下げて歩いている。(枝豆のパンおいしかった!)
Fabriqueさんからそんな様子を見ながら、買い忘れたからお願いねと頼まれていた石けんや、靴下・レターセット・誕生日の近い甥にあげる本など、あちこち物色しながら連れ帰るものを漁る。お話しするのも楽しく、あっという間に時間が過ぎる。ブログを見て、いいなあと思った蚊取り線香立てはもうなかったけれど、やっぱり楽しいお店・・・そういえば今年まだ蚊取りをたいてないなあ。Fabriqueさんにあった、虫除けバンダナに添い寝してもらっているせいだろうか。
毎回毎回、去り難いFabriqueさんなのでした。

 

 

   

     
緑中散歩

用事があってちょっと奥津へ。さすがに北上すると気温が下がる。鏡野の入り口付近では34℃(!)を示していたのが、長いトンネルを抜けると30℃を切っていた。
それでもこの日は雲ひとつないかんかん照りの天気。陰から出ると首の後ろなど痛くなる程日射しが熱い。そんな中奥津渓に行ったところ、星がいっぱい揺れているように青紅葉がキラキラとしていて、地面が苔のせいか、視覚のせいもあるのか、気温(体感温度?)も下がった感じがする。非常に爽やか。
更に北に上がって森林公園へも。夏休みなので人が多いのではと思いきや、森に居たのは公園の職員さんたちのみ。入り口にはノルディックウォーキング用のストックが用意されており(ノルディックウォーキング、知らない人は調べてみてね)公園内をちょっとノルディックウォークしてみることに。鶯や蜩の声、大好きなうば百合の蕾、きれいな流れ、緑また緑。静かで涼しくて、これ以上ない避暑地ではないか。10分程経ったろうか、ストックをつきつき歩いているのに、汗の一滴もにじみもしない。これは果たして、わたしが普段30℃超えの家の中で、衣服や座布団をじっとりと濡らしながら暮らしているからに違いないが、だからこそ味わえる涼である。わたしも以前熱中症で一瞬三途の川を遠くに見たことがあり、その恐ろしさは重々承知の上ですけれども、日がな冷房の中におっては、夏の暑さにやられて当たり前ではないかと思える。多少暑さと共に生き、耐えられる体でいなければ、いつまで経っても熱中症でばたばた人は倒れるし、ふいっと通り過ぎる風や風鈴の音など、感覚で知る涼しさも感じない鈍い生き物になっていくように思えてならない。
考えてみると、この時期に森林公園に来たのは初めてだったかも。是非ともお茶とお菓子でも持ってくるべきであった。歩き回って公園を出たあと、半ズボンから出た太ももがひんやりしているのに驚いた。
自然の冷房も大変結構でございますことよ。

     
手づくり通信

小学生参加の木工教室のお手伝いに行った。作るのは、鉢カバーにもなるプランター。お手伝いに行った大人も作ることができる。
まずは1枚の板からパーツを切っていくのだけども、まあ自慢ではないが工具の扱いの下手さには割合自信がある。のこぎり、何年振りだろう。
子供が切っている板を一緒に押さえたり、釘を打つ時にパーツを支えたり、その合間に自分のを作る。ただ、悪いけれども、ものを作るとなったらわたしは周りがちょっとどうでもよくなる(らしい)。一応子供ができるだけ怪我をしないよう注意を払ったり、工具の扱いを教えたり、補助のために来ているのだけれども、積極的に声を掛け、飽きかけた子供に付いて優しく手を貸したりする他の大人の方々のようにはない、作っている時はとりあえず黙る。そして人を寄せ付けない空気を放つ(ようである)。そして自分のプランター作りに没頭する。時々我にかえり、補助向いてない・・・と思いながら子供の様子を見たりする。
どうも、木をつつくのは好きらしい。前に木でアクセサリーを作った時にも、一切飽きることも諦めることもなく、なんならこのままずっと作り続けていたいと思う程楽しかった。
プランターの出来は、案の定なかなかの不細工具合であったが、やはり作るのは楽しかった。子供たちもわりと黙々、釘を打ち出してからは集中してやっていた。
あ、木をつつくのが好き云々より、あれか、子供とおんなじレベルなわけか。

 

目の宝石たち

またも、「行かねば展示」に出喰わしてしまった。
岡山県立美術館『細川家の名宝展』。
ちらしを見た時から、絶対行くと決めていたもので、いつ行こうと思いながら過ごしていたのですが、来月参加する岡野屋旅館プロジェクトの前に行っておきたいと思い、南へ車を走らせた。
夏休みとはいえ平日じゃしとなめてかかっていた。美術館の駐車場満車という予想外の事態に動転し、一方通行の表示に怯えくらいながらぐるっと回り、近くのパーキングに停めることができて、ひとまず安心。
あまりの展示見たさに、美術館前の横断歩道もおかしなステップを踏むように駆けてしまう。

細川家は、宮本武蔵も招かれたことで知られる熊本の大名家。18代当主は、元総理でもある細川護煕氏。2代目当主は千利休の弟子であったり、当主それぞれ文化への造詣も深かったようで、国宝・重文の美術品も多く展示されている。
まあ本当にその美しさよ。
五輪書や、武蔵の『鵜図』を生で目の前にしているのにも昂揚するが、見事な、美しいという他に言葉の見つからない茶道具の数々(細かな螺鈿が施された天目台、銘を「磯の浪」という蛤形の蓋の香合、利休作とされる茶杓、螺鈿・堆朱の茶器などなど)には体中がどきどきして震えてしまう。どうも螺鈿細工が非常に好きらしく、暫く動けなかったのは、模様部分ではなくその全体に螺鈿を網代に配してある文台と硯箱。これのために絶対図録を買うと決めた程、美しくて、完全にしびれた。
また、好きな画家・菱田春草、小林古径、鏑木清方にも会うことができた。春草の『落葉』は、地面の葉の絵感(?)と木の幹のCGのような質感のギャップに見入り、大好きな古径の『髪』は、こんな大きな絵とは思っていなかったのでまずそれに驚き、さらりと色っぽいというか、決してど派手なわけでも絢爛豪華なわけでもないのに迫るものがあり、またもフリーズする。
中国や朝鮮半島・ベトナムなどから入ってきた品々も多くあるが、こんな美しいものを作った昔の人々と、それを美しいものとして有した細川家と、今まで大切に守ってきた人々に、心より感謝申し上げる次第であります。
展示の入れ替え後の後期に行けるかはわからないが、やはり来てよかった、これは見るべきものだったなあと思いながら、更に車で少し南下。今月2度目のFabrique451さんへ。今回はZさんのお昼にもありついて、またもFabriqueさんで長居をして帰りました。夏は日が長くて助かりますな。

 
     

 

 

 


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