またも、「行かねば展示」に出喰わしてしまった。
岡山県立美術館『細川家の名宝展』。
ちらしを見た時から、絶対行くと決めていたもので、いつ行こうと思いながら過ごしていたのですが、来月参加する岡野屋旅館プロジェクトの前に行っておきたいと思い、南へ車を走らせた。
夏休みとはいえ平日じゃしとなめてかかっていた。美術館の駐車場満車という予想外の事態に動転し、一方通行の表示に怯えくらいながらぐるっと回り、近くのパーキングに停めることができて、ひとまず安心。
あまりの展示見たさに、美術館前の横断歩道もおかしなステップを踏むように駆けてしまう。
細川家は、宮本武蔵も招かれたことで知られる熊本の大名家。18代当主は、元総理でもある細川護煕氏。2代目当主は千利休の弟子であったり、当主それぞれ文化への造詣も深かったようで、国宝・重文の美術品も多く展示されている。
まあ本当にその美しさよ。
五輪書や、武蔵の『鵜図』を生で目の前にしているのにも昂揚するが、見事な、美しいという他に言葉の見つからない茶道具の数々(細かな螺鈿が施された天目台、銘を「磯の浪」という蛤形の蓋の香合、利休作とされる茶杓、螺鈿・堆朱の茶器などなど)には体中がどきどきして震えてしまう。どうも螺鈿細工が非常に好きらしく、暫く動けなかったのは、模様部分ではなくその全体に螺鈿を網代に配してある文台と硯箱。これのために絶対図録を買うと決めた程、美しくて、完全にしびれた。
また、好きな画家・菱田春草、小林古径、鏑木清方にも会うことができた。春草の『落葉』は、地面の葉の絵感(?)と木の幹のCGのような質感のギャップに見入り、大好きな古径の『髪』は、こんな大きな絵とは思っていなかったのでまずそれに驚き、さらりと色っぽいというか、決してど派手なわけでも絢爛豪華なわけでもないのに迫るものがあり、またもフリーズする。
中国や朝鮮半島・ベトナムなどから入ってきた品々も多くあるが、こんな美しいものを作った昔の人々と、それを美しいものとして有した細川家と、今まで大切に守ってきた人々に、心より感謝申し上げる次第であります。
展示の入れ替え後の後期に行けるかはわからないが、やはり来てよかった、これは見るべきものだったなあと思いながら、更に車で少し南下。今月2度目のFabrique451さんへ。今回はZさんのお昼にもありついて、またもFabriqueさんで長居をして帰りました。夏は日が長くて助かりますな。
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