おいしいものが食べたいの

丁度去年の今頃だったか、煮沸消毒した瓶に果物(野菜でもよいらしい)と水を入れるだけで出来る、酵素(酵母?)について教えてもらい、教えてくださった方にいただいた、梨の酵素を使った豆腐の味噌漬けがまあなんとも美味で感激し、自分でも酵素作りに挑戦したものの敢えなく失敗。もう1度あの味噌漬けを食べたいものだと夢見ながら暮らしていた。

夏から初秋にかけてよく飲んでいたゴーヤのジュースに、いただきものの100%のパインジュースを加えていたのですが、だんだんとジュースを作る頻度が減ってきて、パインジュースも冷蔵庫に残ったままになっていたのが、ある日ふとゴーヤのジュースが飲みたくなり、そうそうパインが・・と瓶を取り出し蓋を開けたところ、ぶしゅっという勢いよく空気の抜ける音と共に、瓶内でぶわーーと泡が立ち上った。こ、これは正に、話に聞いた「酵素が出来上がった状態」ではないか・・!この機を逃してなるものかと、すぐさま木綿豆腐を水切りし、ガーゼに包んでパイン酵素と自家製味噌を混ぜた液に沈め、冷蔵庫へ。酵素はずっと生きて活動しているので、何もしなくても常に発酵が進んでいるのだという。なので、上手くいくと豆腐の味噌漬けは、日を追うごとにチーズみたいになっていくらしい。

3日程経って食べてみると、去年いただいた時程の感動はないが、なかなかおいしい。1回に3切れ程、ちょびっとずつ消費する。
何日かして、バリエーションでもつけてみるかと考えた。チーズにブルーベリーのジャムなんぞのせてワインのおつまみに、なんつーのに習い、薄めに切った味噌漬けに母特製のブラックベリーのジャムを少しのせ、オリーブオイルとこしょうをかけた。酒は飲めんので、専ら夜ごはん(柿と春菊の白和えなど)のおかずの1品である。なんとこれがまあ旨かった。なんつうシャレオツなものを食べているのだよわたくしはと、気恥ずかしくなりながら、豆腐のなめらかさとジャムの甘酸っぱさと味噌の風味とこしょうの刺激とオリーブオイルの香りを楽しんだ。
気に入りの粒マスタードをのせたり、練りごまに干し柿を水で戻してやらかくしたのをほんの少しのっけたり、何が合うかを試しているが、もうすぐ味噌漬けが終わってしまうのが切ないところ。酵素はないし、作ってみても失敗するし(前は勝手に酒になったし)、酵素作りに果敢に挑むか、ただの味噌だけの味噌漬けにするかに頭を悩ます、穏やかな日々である。

     
至福
至福の
振替休日

わたしが生息する真庭市に、エスパスランドという文化施設がある。
演奏会など色々なも催しをされるし、図書館も入っているので、しばしば訪れる場所でありますが、文化の日の振替休日であった11月4日、ずっと心待ちにしていた演奏会がこちらで開催されました。

『奥田敏康・渡邉玲雄 コントラバス・デュオ』。
タイトル通り、コントラバス2台とピアノ伴奏という、なかなかに珍しい演奏会。奥田さんは真庭出身の方、渡邉玲雄さんは新日本フィルの首席奏者で、毎年のようにエスパスに演奏にいらしている方なのですが、奥田さんと渡邉さんは師弟のご関係。是非地元真庭のエスパスで奥田さんのデビューコンサートを と、この演奏会が開かれることになったのです。

世の中に一体何個の楽器があるかは知る由もがなですが、少なくとも、オーケストラで使われる楽器の中で最も好きなのがコントラバス。そのコントラバスが主役の演奏会を聴かない理由が見つからない。しかも今回は、ホールではなく、ホールと同じ音響で、録音も出来るスタジオ・通称Eスタでの80人限定のコンサート。演奏される方と聴く側が同じフロアに居て、すぐそばで生の音を聴くことができる。最前列はちょっと照れるので2列目に座ったのですが、わたしだったらこんな人の近くで演奏したら卒倒してしまうんではないのと思う程、充分に近い。

随分前、ラジオでコントラバスのソロの曲を聴いて驚愕したことがあったのですが、ソロの演奏をする時はその時用の弦に張り替えるのだというのを、今回渡邉さんのお話で初めて知って、更に驚きました。
通常バイオリンで演奏されるモンティの『チャルダッシュ』(左手の動きの速さに呆然となってしまいます)、ブラームスのチェロソナタ(コントラバス版)など目も耳も奪われてしまう曲ばかり。特に釘付けになったのは、お2人で演奏されたボッテシーニの『グランドデュエット第2番』。超絶技巧の掛け合いがあったり、大変スピード感のある中で、なんとも美しい二重奏(デュエット)を聴かせたり・・
また、ソロ用ではなく普段オーケストラで使われる仕様のコントラバスで演奏されたサン=サーンス『動物の謝肉祭』からの『象』は本当に格好よくて、優しくて堂々として力強くて荒々しくて繊細で、短い曲の中にコントラバスの魅力的なところが全て入っているみたいで、ますますこの楽器が好きになってしまいました。

そして最後はお2人での『日本の童謡メドレー』。実はコンサート前日、リハーサルを聴いたエスパス職員さんが「泣きますよ」と申されたのです。『ふるさと』で始まり『ふるさと』で終わるこの曲の、最後に『ふるさと』が戻ってきた時点で涙が出ました と。
正直に申し上げる。
わたしはあまりこの『ふるさと』が好きではない。
曲が嫌いなわけではないのです。なんかしらん、日本の人が外国で日本の歌を歌いますといった時や、最後にみなさんで歌いましょうという締めの時などに、必ず出てくる存在であるのがどうも納得いかんといいますか、まあわたしの勝手な思いなのですけどもが、まあ独り言のコーナーですしな、言いますけれども、個人的には『朧月夜』(今回メドレーに入っていて嬉しかったのですよ)や、春のうららに隅田川が流れる『花』の方が断然好みなのでして、『朧月夜』など、日本の美しさや情緒、なんともいえぬ切なさや温かさなどを、それが液体であったとしたら溢れしたたる程、存分に含んでいる名曲ではないか!と、まるで、日本人の心の歌ですよね、そうですよねーといった感じで『ふるさと』が登場する度に憤懣やるかたない気持ちになっていたのである。
今回渡邉さんは、是非皆さん歌で参加してくださいと言われまして、わたくし歌うのは大好きですので、居酒屋よろしく、喜んで!という姿勢で臨んだのですが、皆さん歌好きな方が沢山いらっしゃったとみえ、歌詞がないにも拘らず時にはハモリも聴こえ、なにかとてもよい雰囲気で、春から冬へ季節を追った童謡が流れていきました。大好きな『冬景色』が終わり、猫がこたつで丸くなったあと、渡邉さんと奥田さんのコントラバスで再び『ふるさと』が奏でられた時、なんなのでしょうなあ、涙がこぼれてしまったのですよ。まんまと泣いてしまったのです。いい曲だなあと思いました。この演奏会にぴったりの曲だったなあと。この曲をこんなに素直にいいと思ったのは初めてだなあと自分で驚きながら、はらはら涙を流し、更にアンコールで演奏された『ロンドンデリーの歌』は大好きな大好きな曲で、なんだ今日はわたしを泣かす日なのかという程泣かされました。

本当に素晴らしいコンサートでした。コントラバスの魅力を全身に浴びて、演奏される姿に圧倒されて。素人でも難しそうとわかる曲を次々と演奏された、ピアノ伴奏の江川さんも大変可愛らしくて、どうしたらこんなよい娘さんになるのだろうなあと思う程素敵な方でした。
泣いた直後で、しかも精神的酩酊状態で(わたしは素面で酔っていると思われ、酒を舐めると色んな機能が低下し何もできなくなる)、今目の前でものすごい演奏をされた方に緊張して、おいそれと話しかけられもせず、まごまごして感想も申し上げられなかったというのが、この演奏会における残念な点があるとしたら、それである(なんてわたし次第なのだ!)。こういうとこよなー、わたしが人にどうもようわからんがられるとこはなー・・ここで独りごちても致し方ないことなのですけどもなー・・今度もし幸運にもお目にかかる機会があったらちゃんと言おう・・

などという自己反省はさておき、出演者の皆様、このファンタスティックなコンサートを企画してくださったエスパスの皆様に心より御礼申し上げる次第です。
こんな身近でこんなにときめく演奏会が開かれるなんて、幸せなことでございます。これからも今回の奥田さんのように、真庭をふるさととする方々を応援できる場でもあってほしいと思いました。

また次々と、本当に行ってよかったと思える催しに出会いたいものでございます。
ああ・・なんとも豊かなひとときでありました。

   
     
おいしいことはしあわせだ

「たこ焼きすんねんけど、お昼前に来ーへん?」
近くに住む友人がそう声を掛けてくれたので、少しの野菜を持っていそいそと出掛ける。
家に着くと、具を切ったりしているところだったのだが、見るとたこ焼きの生地が青い。いや、緑色の「あお」なのだが、彼女曰く「青のり入れ過ぎてん」。直接生地に入れるのかと驚いていると、子供が小さいので、上にかけると色々大変なのだとのこと。しかし、これが誠によかったのである。火が通るにしたがって、なんともよい匂いが漂ってくる。わーええなあ、生地に青のりぎょうさん入れるの。誤って大量投入してしまった友人も、ええにおいやなあと、たこ焼きをくるくるする。

たこ入りとウインナー入りのたこ焼きが出来上がり、よう味のしゅんだおでんも出してくれ、有難く頂戴していたのだが、少しすると友人はキッチンへ。なんぞ手伝いをと思いながらも食べるのに夢中になっていたところ、お皿におむすびをいっぱいこさえて持って来てくれた。わあ、ありがとう!と早速ひとついただくと、まあ、なんと美味しいの!海苔も具もない小さめのとてもシンプルな白むすびなのだけれど、握り方が上手なの?何やらとてもおいしくて、たこ焼き・おでんを食べたあとでも止まらない。握りたてのおむすびをいただいたのなどどのくらい振りだろう。梅干しが入っていなくてよかったと思う程沢山いただいてしまった。こんなものしか・・と友人は言っていたけれど、大変幸せなお昼ごはんでした。青のりをたっぷり入れたたこ焼きの旨さも教えてもらって。

ちなみに、たこ焼き用プレートも付いた大きなホットプレートを買った母は、ことあるごとに出してきて、肉やらそばやら焼いているが、余程楽しいのか「なんでもするで」と言ったのに、それから数ヶ月、わたしが何度言っても、たこ焼きだけはしてくれないのであった。

 

冬に会いにゆく

大山の麓にある神社が紅葉がきれいでとてもよいよと聞き、是非行こうと話をしたのが丁度去年の今頃。
ついに1年越しの夢が叶うぞよという当日の新聞に、前日大山初冠雪のニュースと見事な写真が。うわー雪降ったかーと思いつつ、まずはお昼を食べにパン屋さん・小さじいちへ。お店の目の前には、どーんと大山。雪をかぶるとますます「伯耆富士」の名にふさわしい姿と思える。お店に着くと雨が降り出し、大山の頂上にもずっと雲がかかって全体を見ることはできなかったが、尾根や谷にギザギザに積もった真っ白な雪を見ながらおいしいごはんをいただく。

そして、いよいよ大神山神社へ。お店を出る時には雨が止んで、よかったねと言っていたのが、登山口もある大山の麓に着くやあられが降り出す。近くの建物に避難していると止んだので、いざ鳥居までの急な坂を上り始める。両脇には旅館や土産物屋さん。「登山用パンあります」の文字が気になる。
大きな鳥居をくぐると参道には雪!参道がとても長いと聞いていたのでスニーカーを履いて行ったのだが、この日の正解は長靴であった。国内最長の自然石の参道であるらしいが、その自然石と雪のおかげで足元しか見ることができない。次にどこへ足を置こうかとよろよろしながら歩いていると、息は真っ白だけれど熱くなってくる。なんとか滑りも転びもせずに神門まで辿り着くと、石段は雪で真っ白。急に息の白さも増し、神門をくぐって奥宮まで上がると、大きな大きなお社の屋根も真っっ白。一体今は何月なのだ・・と呆然となるような景色。懸命に爪先で歩いて社殿へ。折角なので、一部を残して建立当時の状態に彩色されたという社殿の内部を拝観する。特に白檀塗の柱は見事であった。

すっかり初詣してしまった気分で、再び足元のみ見ながら下界へ。そばの大山寺にもお参りし、盛大に鐘をついて帰途につく。
思いがけず初雪にも接し、念願の大神山神社にもお参りでき、いつもながら充実の1日でありました。

     

 

 

 


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