若返る毎日

作業机においてある時計が、電池が切れかかったのか時折止まったり進んだりしていた。
自分でも感心する程の面倒くさがりである。常の如くそのまま放置していたところ、ある日気付くと秒針が逆に回転しており、時間がどんどん巻き戻るという状態になっていた。
最初は秒針も行きつ戻りつしていたが、1週間もすると動きもスムーズ、あたかもそういう時計ですのよと言わんばかりの反時計回り振りを見せるようになった。
わたしの方も見る度「えっ!」とか言っていたが、今や時間を確認するためのものでなく、「なんとも自然に反対に回る時計」という置物として眺めるようになっている。

戻れるとしたらいつに戻りたい?という問いには断固「いつにも戻りたくない」と答えるが、時計の中だけで起こることなら、なかなか楽しいことである。

     
夢叶い放題

 

夜の集まりを終え、数人で外へ出たところ満天の星。
寒空の下ぼそぼそ話していると流れ星が!かなり尾を引いた大きなものだったので、人工衛星とかだろうかとも思ったが、目撃した2人でわあわあ喜んだため、見ていなかった1人が悔しがっていると、また流れ星。しかも今度は2つ同時に。なんだなんだ、なんとか流星群か?と色めき立っていると、1人がすぐさま「スマホ」をくるくる。「ふたご座流星群だって」「おお〜!」。その後も降るわ降るわで数十分の間に10コ以上。ピーク前日(スマホ情報)だったにも拘らずこの量なれば、ピーク時にはどれだけの星が降るのだろうか。
それにしても、星が流れる時って、そこに見えている星がすっと流れるのではなく、いきなり光が現れて流れて消えるのが不思議だ。地球では見えないくらいに光が弱くなって、流れる直前に燃えるか爆発かするのだろうか。
しかも今目にした流れ星は、とうの昔に流れて宇宙からは消えてしまっているものなのであろう?そして、コンマ何秒かで消えてしまう光だけれども、宇宙ではきっと随分長いこと燃えながら飛行しているのだろう?(違ったらすいません)
とか思うと、全てが瑣末。もういいではないか何もかもと思える。

という格好のいい体裁をとりながら現実逃避を図る年の瀬。

     
年の終わりの雪見風呂

餅もつき、荷物も送り、2012年もあと1週間を切って、悪戦苦闘していた年賀状作りに再度挑んでみたところ、なんとかメドがつきそうだ!と踏むや、郵便局が25日までにお出しくださいと言っているにも拘らず、印刷だけして奥津へと飛び出して行ったわたくし。道の雪は溶けていたものの、途中からちらちら舞い出し、奥へ行くと急に周りの景色が真っ白になって、ちょっと怯えながら運転する。
寒くてみんな外へ出られないのか、閉館時間が近いせいか、他にお客さんのいない貸し切り状態の温泉へ。広いお風呂にゆったりとつかる。露天風呂では、雪景色と月を見ながらという風流さ。
餅つきの疲れや寒さを癒すに絶好な温泉にこの時期に入れるとは、なんたる幸せ。年賀状の宛名書きや掃除を頑張る英気を養ったのであった。


 

 
   

 

     

 

 

 


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