愛用品その1

漫画・イラストを描くにあたり、トーンというペラペラした薄いシートを絵の上から貼る作業をすることがあるのですが(近頃はパソコンでする方も多いようですが、わたくしは未だ手作業にて)、それを貼った後、ヘラのようなものでこすって紙に定着させる作業をしていたところ、ボコ という音と共に、そのトーン押さえがまっぷたつに折れてしまいました。その様が割合と衝撃的で、しばらく呆然としてしまいましたが、ああ折れるなんてこともあるんだなあと、思い返せばこの1本で、もうかれこれ10年以上、15年くらいか、トーンを何百回何千回と押さえ続けてくれたわけで、この文具の寿命を知るわけではないけれど、随分長いこと頑張ってくれたなあと感心しつつも、まだ作業が残っていたので、その短い柄を握り、折れてもなお酷使してしまったのでした。まったく今までお世話になりました。

 

 

初体験

初めて自ら店頭に立ち、自分のものを売るという機会に遭遇しました。初めてとはいえ自分の準備の悪さには驚愕する程で、前日の夕方、買ってもらったものを入れる袋をまるで用意していないことに気付き、商品説明のPOPと共に、夜なべして作るというていたらく。当日も出店者の中で最も遅く会場へ出向き、セッティングでは会場の職員さんたちを困らせ、ほとほと情けなくなって、目立たぬように陰でこそこそパンを食べているような状態でのスタートでしたが、心優しい方々が、本や絵をお買い上げくださったり(半分以上が知った方)、他の出店されている素敵な方々とお近付きになれたり、素敵なものを手に入れたりで、無事終えることができました。
アルバイトなどをして、口座にお金が振り込まれたり、現金で手渡されるのとも違って、自分の作ったものたちから換えられたお金を直接手にするという不思議さと有難さを味わったように思います。まったく大した仕事もしていないのに(知り合いの方に、もっと前に出んとといわれる程)緊張からか、背中が痛くなっているようです。

今回、国民文化祭のイベントとして設けられたことだったのですが、この国民文化祭、県内各所でほぼ1週間の間に様々な催しが行われていて、わあなんて魅力的な展覧会!とかこれ是非見てみたい!とか思っても、それが同じ日に重なったり、とても日程的に無理だったりで、自分の住む県内で行われていることなのに、まるで堪能していないというか、なんだったのだという感じで、なんだか勿体ないような気がして、もっとゆっくり余裕を持って、もう少し長い期間でやってもらえたらよかったのになあと、関係機関が聞いたら怒られそうな、勝手なことを思ったりしました。

 

 

愛用品その2


 

テレビで、絵の上手な芸人さんが、わたしが使っているのと同じペンを使って絵を描いておられるのを目撃し、思わずおおと声をあげてしまいました。きっと沢山の人が同じものを日々使っているのだろうけど、目にすることはなかったので、なんだかとても嬉しくなってしまいました。

そういえば何年も前、つけペンのペン先がそのうちなくなるのだとか聞いて、それは使っている人は大変だなあと思いましたが、この間画材屋さんで見かけたので、”そのうち”はいつだったのかなと思うと共に、愛用しているよいものは長く世の中に居てほしいものだと願わずにはいられないある秋の午後でした。

 

 

なんだ?
年のせいか?

2人の姪の子守りに動員され、お昼に焼きそばを作って一緒に食べた後、食後の眠気に襲われながら片付けをしていると、上の子に本を読むよう要求され、2冊読んだら昼寝をするという約束で読んでいると、眠いと床に転がって毛布を吸っていた下の子も起きてきて、2人ともヒートアップしてしまった。本(または本を読んでもらうこと)が好きなのだなあと思いながら読んでいると、上の子に「疲れた?」と気を遣われる。じいさんばあさんの家に2人で遊びに来た彼女たちを迎えに向かっている母(わたしの姉)をだしにして、かあさんが来るまでお昼寝しよう と2人をこたつへいざなうも、そこでもう1冊読めと出されたのが、上の子が持って来た、まるきのヤンコ という、最初なんのことやら全く理解できなかったタイトルの本。子供のいない夫婦が丸木で赤ちゃんを作ったところ、その赤ちゃんが動き出し、その子をヤンコと名付けて3人で暮らしているうちに、大事(おおごと)が起きるという話だが、これがどうも、滅相胸にこみあげてくるお話で、ちゃんと読まなければと思うのに、ラストなど声を詰まらせないことに必死になる程だった。約束通り2人を昼寝させ、自分も横になったが、下の子はすっかり覚醒してしまったのか、ヤンコのセリフをずっと大きな声で叫び続けていた。

いい本だった・・・絵もよく合っていて。
つくづく、絵本は大人の読みものだと思う。

 

 

 

   
   

 


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